リスクを知って正しく対策
「体のあちこちが痛い」「お肌の調子が…」―。年齢とともに支障を感じることが多くなってきますが、残念ながら老化を完全に止めることはできません。しかし、対策によって進行を遅らせることはできます。
老化による代表的な症状と対策をまとめました。簡単にできることばかりですので、今すぐ実践しましょう。
免疫力が落ちないように、しっかり休養をとり、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。特にビタミンCやEなどが多い野菜の摂取がポイントです。
お肌の調子と生活リズムには深い関係があります。睡眠不足やストレスはお肌の大敵。十分な休息をとるように心がけましょう。食事はビタミンA・C・Eを含む緑黄色野菜、タンパク質をバランス良く。
加齢とともに基礎代謝が落ちるので、食べる量は変わっていないのに、なぜか体重が増えていくことになります。基礎代謝は主に筋肉量に比例しますので、腹筋やスクワットなどの筋トレが効果的です。
イワシやサバなど青魚に豊富なEPA・DHAは脳への働きが明らかになっています。積極的に摂り、脳を活性化させましょう。
ストレスがたまると食欲不振になりますので、趣味や運動などでストレスを発散しましょう。食事はメニューがパターン化しないように工夫を。香辛料や酢などは食欲増進の効果があります。
偏食の人たちに多い症状です。肉やレバー、魚など良質なたんぱく質や鉄分の多い食品を摂りましょう。柑橘類を一緒に摂ると鉄分の吸収がよくなります。
生活リズムが大切ですので、1日3食決まった時間に食事をしましょう。食物繊維の多い食べ物と水分補給がポイントです。運動不足も便秘につながりますので、ウォーキングなどで腸の動きを活発にしましょう。
脱水症状を起こすと厄介ですので、水分補給が大切です。その際は必ず常温で。冷たい飲み物は逆効果です。また、香辛料、アルコールなど腸に刺激を与えるものは控えましょう。
老化のメカニズムや原因については、さまざまな学説がありますが、主に3つの要因が関わっていると考えられています。
1つめは細胞の老化です。人間の体には約60兆もの細胞がありますが、これが衰えてしまいます。加齢とともに細胞が働けるだけのエネルギーが足りなくなってくるのです。
2つめは細胞の酸化。細胞の中にある遺伝子やタンパク質などが、活性酸素によって攻撃され、機能停止、細胞死にいたるというもの。よく「体のサビ」といわれるものです。
3つめはホルモン分泌の変化によるもの。例としては更年期を迎えるとホルモンバランスが崩れ、更年期障害がおこる現象などがあげられます。老化はこれらの1つだけが原因で起こるのではなく、複合して起こると考えられています。
人間の体を作っている細胞は、限られた回数しか分裂・増殖できないといわれています。例えば、赤ちゃんの細胞分裂の限界は、およそ50回といわれています。
通常、細胞は一定の回数を分裂すると、分裂スピードがゆるやかになります。分裂できなくなった時が、細胞にとっての限界であり、細胞の老化であると考えられます。限界まで分裂した細胞を「老化細胞」といいます。
老化細胞は、もともと生まれた時からある細胞なので、長い年月にともない、蓄積されていく一方です。老化細胞からは内臓機能の低下や、様々な病気を引き起こす物質が分泌されています。
加齢によって細胞はどのように変化するのでしょうか。
まず、細胞内で活動するためのエネルギーを作り上げる「ミトコンドリア」の質が低下。エネルギー不足のため活動が弱まってしまいます。
さらに、活性酸素を消去する酵素が減少し、細胞がダメージを受けることが多くなります。細胞をダメージから守るには、活性酸素を除去し、エネルギー不足を補ってあげる必要があります。
私たちは呼吸によって酸素を取り入れ、食べることで栄養素を取り込んでいます。エネルギーを生み出すためには、栄養素を燃やさないといけません。つまり"酸化"なしでは生きていけないのです。
むいたリンゴや金属は、時間が経つと茶色くなりますが、実は私たちの体でも同じことが起こっています。これが「体のサビ」です。
原因は「活性酸素」。体内に取り入れた酸素の一部は、酸化力の強い活性酸素に変化します。もともと活性酸素の役割は、強力な攻撃力で体内に侵入したウイルスから体を守ること。
ところが、活性酸素が増え過ぎると、健康な細胞や血管まで傷つけ、サビつかせてしまうのです。
ホルモンは視床下部、甲状腺、副腎などの器官から分泌されています。男性では精巣、女性では卵巣などからも出ています。血液やリンパによって体中に運ばれたホルモンは、内臓機能や体の調整など、それぞれの役割を果たします。
多くのホルモンは、加齢とともに分泌量が減ってしまうため、臓器が十分に機能せず、支障がでてきます。
高齢になってから分泌量が増加するホルモンもありますが、取り込む側(受容体)の機能低下により、ホルモンバランスが乱れてしまいます。
男性ホルモンのテストステロンは、20歳頃をピークに緩やかに低下します。男性は特に40代から60代にかけて仕事や家庭でのストレスを受けることが多く、これをきっかけに男性ホルモンが急激に減ってしまいます。自律神経失調症のような不定愁訴を訴えることもあります。
卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)は、50歳頃から急激に分泌量が低下します。いわゆる「閉経」です。女性ホルモンが不足すると、ほてりや心悸亢進(心臓がどきどきする)、抑うつ症状などの「更年期障害」がみられるだけではなく、さまざまな老年病を引き起こすことがわかっています。
老化とは「加齢に伴って活力や生体能力が低下する傾向」のこと。個人差はありますが、視力や聴力は 10歳、感染への抵抗力は 15歳、知的能力は 20歳、筋力は 25歳でピークに達するといわれており、その後は徐々に低下していきます。
「減る」「乾く」「固くなる」が老化現象の三大特徴です。
このほか、予備力・回復力の低下、防衛力の低下、適応力の低下によって、疾病にかかりやすくなり、治りにくくなることも特徴です。
体重減少、疲労感、日常生活活動量の減少、身体能力の減弱、筋力の低下の中で、3つ以上当てはまる場合は高齢による衰弱(フレイルティ)とされます。
筋肉量の減少が認められるうえで、さらに筋力低下、身体機能低下のうち1つ以上当てはまる場合はサルコペニアとされます。
基礎代謝の低下が原因。基礎代謝とは心臓を動かす、呼吸する、体温を保つなど「生命維持」に必要なエネルギーのこと。実に1日の消費エネルギー量の7割以上を占めています。男性で18歳、女性では15歳くらいをピークにどんどん低下します。
基礎代謝が低下するのは、成長期を過ぎた後は、「維持」のエネルギー以外は必要なくなるため。エネルギーをたくさん使う筋肉が減っていくのも理由です。つまり年齢とともに「痩せにくく、太りやすい体」になっていくのです。
※厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」
報告書の参照体重における基礎代謝量表よりタニタが作成
老化の影響は体のあちこちに出てきます。主に次のようなものがあります。
脳の萎縮は50歳ころからはじまりますが、いきなり機能低下するわけではありません。記憶力は20代をピークに衰えていきますが、判断力は40代程度まで増強を続け、その後もほとんど低下することはありません。想像力・統合力・理解力などにより的確な判断をします。
一方で、血液や血管に問題があると要注意。脳の深部で循環障害が広がります。軽い場合は無症状ですが、動脈硬化や高血圧の場合、つまずきやすい、むせる、トイレが近いなど、「年のせい」と思われがちな症状が出ます。
また、気になるのが「もの忘れ」。記憶を司る海馬(かいば)の機能低下であれば「人の名前が思い出せない」など、もの忘れにとどまりますが、側頭葉や頭頂葉の場合、アルツハイマー型認知症になります。
視力、聴力、嗅覚、味覚などの感覚機能がいずれも低下します。視力は50歳位から老眼になります。明暗への順応も低下し、目測を誤ったり、字が読みにくくなったりします。読書などに必要な光量は青年期の約10倍必要とされています。聴力は高い音が聞きとりにくくなり、同時に2つ以上の音から情報を聞きとる能力が低下します。
嗅覚の衰えは、特に認知症などの場合、ガスのにおいなどに気づきにくくなるため危険です。味覚は、特に塩味を感じる力が低下しますので、塩分過多による高血圧になっていることがあります。
吐き出す息の量が低下し、坂道などで息切れの原因になります。特に喫煙者は注意が必要で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)になると日常生活の中で息切れするようになります。また、異物や細菌を「たん」として排出する機能も弱くなり、誤嚥(ごえん)性肺炎が増加します。
心臓から送り出す血液の量が低下し、階段や坂道で動悸、息切れがでます。動脈硬化が進むと上の血圧(収縮期血圧)が増加、下の血圧(拡張期血圧)が低下します。
腎臓はもっとも老化の影響を受けやすい臓器です。尿を濃くする能力の低下は、夜間頻尿の原因となります。腎機能の低下にともない、睡眠薬などの効果が長びいたり、鎮痛薬などの副作用が出やすくなります。
骨の量は、頭蓋骨などはあまり変わりませんが、腰椎や大腿骨頸部などは若いときの80%程度に低下。重い物を持ったときの腰椎圧迫骨折や転んだときの大腿骨頸部骨折につながります。年間に20%以上の高齢者が転倒し、1%の人が骨折するといわれています。
筋力の低下は、たとえば青信号を渡りきれないなどの場合、加齢性筋肉減少症(サルコペニア)の疑いがあります。
口がかわく感覚が低下するとともに、腎臓の劣化により薄い尿がたくさん出るため、脱水状態になりがちです。さらに、脳血管障害、日常生活動作(ADL)の障害、認知症の合併などにより、いっそう水分摂取量が少なくなる傾向があります。
記憶が困難になる。正しい言葉が思い出せなくなる。
新しいことを学ぶのが困難になる。脳が伝達物質を出しても、受容体数の減少により、情報処理ができない。
内耳の劣化や脳の萎縮などにより平衡感覚が不安定に。
心臓が姿勢の変化に対応できず、十分な血液を頭部に送れない。
血流を増加させる神経系の信号が、心臓に効果的に伝わらない。
立ち上がったときに、血管が十分収縮せず、正常な血圧を保てない。
筋肉を作っている線維の数と太さが減少する。
筋肉を維持するホルモンが減少する。
柔軟性の低下。筋肉が硬くなり、筋力が低下する。
滑液の産生量が減少する。
関節軟骨が硬くなり、すり減る。
腱や靱帯が硬くなり、弱くなる。
運動中に心臓が追いつかない。心臓と血管が硬くなり、弾力性が低下することが一因。
肺は吸い込む空気の量が減少し、酸素が十分に吸収できなくなる。
眼の水晶体が硬くなり、近くのものに焦点を合わせるのが困難になる。
薄暗いところで見るのが困難になる。
眼の網膜の光感受性が低下する。
眼の水晶体の透明性が低下する。
光の変化に対する瞳孔の反応が遅くなる。
眼の表面を滑らかに保つ液体や涙の量が減少する。
高い音が聞こえにくくなる。
嚥下が困難になる。
飲み込むのに必要な筋肉が弱くなる。
歯が抜ける、または義歯が合わないことで、食べものを十分に噛みつぶせなくなる。
脊椎が変化して、頭が前に傾き、のどを圧迫する。
唾液減少により、口が乾燥し、味覚が消失する。
味覚や嗅覚の衰えにより、食欲がなくなる。「食」に無関心になる。
油分が減少し皮膚が乾燥する。
コラーゲンなど皮膚に必要な成分が減少する。
しわが増える。
皮膚の裂傷が増加する。
皮下脂肪の層が薄くなりクッションがなくなる。
血管がもろくなる。血管の数が減少する。
あざが増える。
傷の治りが遅くなる。
体温を保つ皮下脂肪の層が薄くなる。
汗腺数の減少により、汗が減少、体を冷やせない。
血管数の減少により、血流が減少、体を冷やせない。
皮膚の神経数減少により、痛みを感じにくくなる。
色素(メラニン)が減少し、白髪になる。
生え変わる毛髪の成長が遅くなり、毛髪が薄くなる、抜けやすくなる。
女性ホルモンが減り、腟が乾燥する。
陰茎への血流量が減少する。
勃起に時間がかかる。長続きしない。硬化不足。
血管の老化とは、血管壁が厚く、硬くなり柔軟性が失われ、血液の通り道が狭くなること。いわゆる「動脈硬化」で、糖尿病、高血圧などのリスクが高まります。さらに血管が詰まりやすくなるため、「心筋梗塞」や「脳梗塞」など生命を脅かす病気の要因になります。
「目のレンズ」水晶体が濁ってしまう病気です。早ければ40代から発症し、80代を超えるとほとんどの人が白内障の状態にあるといわれています。基本的に失明する病気ではありませんが、一度発症すると、薬では治りません。最終的には手術以外の方法はありません。
骨の量が減り、スカスカになる病気。ちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。特に閉経後の女性に多くみられ、日本には約1000万人以上の患者がいるといわれています。骨折の多い部位は、背骨、手首、太ももの付け根などで日常生活に支障がでます。また、背筋が丸くなったり身長が縮んだりします。
手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせていく病気です。進行すると、寝たきりは避けられず、経管栄養(胃ろう)や人工呼吸器に頼らなくては生きていけません。根本的な治癒が困難とされる「指定難病」で、この30年で患者数が約3.7倍に増えています※。
※厚生労働省発表「衛生行政報告例」および難病情報センター「難病対策提要」より
細胞分裂の際には、元のDNAをコピーしますが、コピーミスを起こすことがあります。これを突然変異といいます。突然変異を起こした細胞の多くは死にますが、遺伝子に突然変異が起こると、細胞は死ぬことができなくなり、分裂を繰り返すようになります。この「死なない細胞」が、がん細胞です。がん細胞は健康な人でも1日に約5,000個発生していますが、免疫で消去しています。
一方、加齢によってがんが増えるのは、突然変異が蓄積されるのと、免疫が衰えてしまうからです。
老化は万病のもと。ここでは各世代別に注意したい病気や注意点ついて解説します。
20代女性に急増しているのが子宮頸がん。原因の多くは性行為によるHPV(ヒトパピローマ)ウイルス感染。したがって性行為をしたことのある女性なら、誰でも感染する恐れがあります。
ただし、感染したらすぐに発症するわけではありません。ウイルスを免疫で排除できず、長期にわたって感染し続けた場合に発症します。子宮頸がんになっても、初期症状はほとんどありません。気づいたときにはかなり進行していて、子宮を摘出しなくてはいけなくなることもあります。
特に20代の女性はやせる必要がないのに、ボディーラインを気にして、食事の回数や量を極端に減らす人が少なくありません。こうした無理なダイエットは老化を早めるだけでなく、貧血や肌あれ、生理不順などを引きおこします。栄養バランスのとれた食生活を心がけて、健康的な体重をキープするようにしましょう。
成人男性の約2割にものぼるといわれていますが、最も多いのは30代です。以前は「ぜいたく病」といわれ、中高年がかかる病気といわれていましたが、過食・過飲や欧米化した食生活、運動不足などが、若年化の原因といわれています。
尿酸値が高い状態が続くと、ある日突然、強烈な痛みが足を襲う「痛風」がでます。
30代の約3割が「心の病」を抱えています。仕事、睡眠不足、人間関係、家族、結婚、育児、将来への不安などがストレスとなって、心のバランスを崩す人が多いようです。趣味や生きがいを見つけ、上手なストレス解消法を身につけるようにしまよう。
40代の胃、大腸、肝臓、肺のがんは、30代に比べて3~4倍上昇します。他人事だった「がん」が、身近な病気になってきます。原因の多くは食生活、運動、喫煙などの悪い生活習慣ですのでライフスタイルを見直してみましょう。
また、乳がんは、年間約8万人が発病し、40代から急激に増加します。原因は明らかになっていませんが、女性ホルモンが関係しているといわれています。早期に発見できれば治癒可能ですが、発見が遅れると死亡率が高まります。定期的に乳がん検診を受けましょう。
昔と同じ生活をしているのに太ってくるのがこの時期。基礎代謝は40代になるとピーク時の80~90%に落ちてくるため、運動などをしなければ、摂取したエネルギーは内臓脂肪や皮下脂肪となって蓄積される一方です。糖尿病や脂質異常症、高血圧症など、生活習慣病が発症しやすい状態でもあります。
不摂生のツケが本格的に現れ始めます。命取りにもなりかねない心筋梗塞や脳卒中も、50代から急増。また、加齢とともに筋力が低下してくるため、五十肩、腰痛など、体の衰えを実感する人も多くなります。
女性ホルモンの減少により、発汗、体のほてり、うつ傾向など、さまざまな症状が現れます。骨粗鬆症や動脈硬化のリスクもはね上がります。食事や運動などで体を活性化させましょう。
老いは確実に進んでおり、60代以降は体のあちこちに支障が出てきます。特に足腰が弱体化には要注意。ちょっとつまずいただけで骨折するなど、介護リスクが高まります。実際に要介護の約5人に1人が骨折や転倒、関節疾患がきっかけとなっています。
日本人の死因の第3位である脳卒中は、たとえ命をとりとめても、障害が残ったり、寝たきりになることもあります。実際に要介護のきっかけの15%以上を占めています。丈夫な血管とサラサラ血液を保つよう、食習慣や運動習慣を見直しましょう。
老化を防ぐアンチエイジングには食事、運動、心(精神)、3つの対策が大切です。
腹八分目を心がけ1日3回食べましょう。毎日同じ時間帯にすると生活リズムを整える効果も。偏食はビタミンやミネラル、たんぱく質などの不足してしまいます。基本は、一汁三菜(主食、主菜、副菜2品、汁物)の和食ベースにすると、栄養バランスが良くなります。
ビタミンEやコエンザイムQ10などの抗酸化成分をプラスすると老化防止に効果的。抗酸化成分とは酸化されやすい成分のこと。私たちの体よりも先に酸化されることで、体を防御してくれます。
ウォーキングやラジオ体操などの有酸素運動を続けると、内臓脂肪が燃えやすい体質になります。筋肉量が増え、代謝が促進されるという好循環や生活習慣病予防も期待できます。
ストレス解消法はブームもあり、実に様々ですが、やはり自分にあった方法がいちばんです。ここでは一例をご紹介します。
自分の心と向き合い、何がストレスになっているのか理解しましょう。抑え込んでいる気持ちを解放させることがストレス解消につながります。
心身の疲れをほぐすために、入浴や読書などリラックスできる時間を作りましょう。時間がない時は、就寝前の腹式呼吸だけでも効果があります。
イライラした時は深呼吸しましょう。怒りのピークは6秒で過ぎ去るという説もありますので、やり過ごすことが大切です。
良い睡眠は、体の抵抗力を取り戻し、心の疲れを癒してくれます。ポイントは成長ホルモン。眠っている間に分泌量が増えるとされており、皮膚や骨、筋肉を作る働きが老化防止に一役買ってくれます。
老化の3大要因
老化を防ぐには
アンチエイジングには食事、運動、心(精神)、3つの対策が大切。特に食生活ではビタミンやコエンザイムQ10などの抗酸化成分を摂ると効果的。
身体の器官を支えているのは、ひとつひとつの小さな「細胞」。常に細胞を活性化させておくことが、若々しさを保ち、老いにくい身体をつくります。そこで注目を集めているのが「還元型コエンザイムQ10」です。
すべての細胞に存在する生命活動に不可欠な物質。従来は医薬品成分として使用されてきましたが、2001年に食品成分としての利用を認可されて以降、「美容によい」「疲労を回復」など、様々な老化防止効果が注目されてきました。もともと体内にありますが、20代をピークに減少してしまうので、食品からの摂取が必要です。
出典:U:Hoppe et al.,Bio Facros.9,371-378(1999)
まずエネルギーを作り出す力が低下。すると疲れやすく、倦怠感がでてくるように。さらに抵抗力が落ちて風邪を引きやすくなったり、肌の調子が悪くなったりと、さまざまな不調の原因になります。
生命維持・活動に必要なエネルギーは、細胞の中にあるミトコンドリアで作られます。食事から摂取した『栄養素』と、呼吸で取り入れた『酸素』を使って作られますが、この仕組みで不可欠なのが「コエンザイムQ10」です。さらに、強力な抗酸化作用で活性酸素を除去し細胞を守っています。
また、ホルモンは分泌されても受ける側(受容体)が機能していないと、働くことはできません。「還元型」コエンザイムQ10は受容体を強化する可能性があると考えられています。
コエンザイムQ10には“酸化型”“還元型”の2種類があります。もともと人体にあるのは還元型ですので、酸化型が働くためには、一度体内で還元型に変わる必要があります。
「老化」とは酸化型を還元型に変換する機能の低下といえますので、そのままパワーを発揮する“還元型”の方が効果的です。また、強力な抗酸化作用も“還元型”のみの特長です。
エネルギー不足は、細胞の機能低下、細胞数が減少をまねき、老化や病気につながります。傷ついた細胞の修復にも、ミトコンドリアでつくられるエネルギーが必要です。
酸化の原因は、活性酸素。還元型コエンザイムQ10は、強力な抗酸化作用で活性酸素を除去し、体をサビから守ります。
還元型コエンザイムQ10は、性ホルモンの受容体を強化する可能性があると考えられています。
日本人高齢者に「還元型コエンザイムQ10」100mg/日を6ケ月間摂取させ、健康関連QOLをSF-36※1にて評価したところ、身体的(肉体的)疲労感の指標:「活力」が摂取前に比べて有意に改善した。
※有意な差あり(p<0.05)
対象:ケアハウス在住高齢者11名(男性3名:平均年齢78.3歳、女性8名:平均年齢80.4歳)
出典:出口祥子ら、臨床医薬24巻3号 2008:233-238
※1 SF-36は、健康関連QOL(QOL:Quality of Life, 生活の質)を測定するための、科学的で信頼性・
妥当性を持つ尺度
日本人中高齢者に「還元型コエンザイムQ10」150mg/日を8週間摂取させたところ、1日の歩数(身体的活動量指標)が有意に増加し、身体的疲労の指標とされる唾液SlgA値が改善した。
出典:清水和弘ら、日本補完代替医療学会誌2015年第12巻1号:37-43
CoQ10を摂取した人は、摂取しなかった人に比べ、運動中の脂肪酸化(燃焼)が有意に増加した。また、この研究でCoQ10は軽度運動中の自律神経活性を増大させ、脂肪酸化を増大させる可能性が示唆された。CoQ10は脂肪を分解し、脂質異常症または肥満者に有効な可能性がある。
出典:J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2008 Aug;54(4):286-90.
アルツハイマー病は「アミロイドβ」と呼ばれる物質が凝集し、神経細胞を障害することが原因と考えられている。CoQ10はアミロイドβの形成・伸長を抑えるだけでなく、分解することが明らかにされている。
出典:老年精神医学雑誌17:58-62,2006
加齢によって新陳代謝が遅くなると新たな細胞が生まれず、肌のシワが増え、溝が深まり、みずみずしさを失う。これを防ぐには、活性酸素による酸化ストレスを低減し、皮膚細胞を活性化させることが必要だが、この2つの機能を併せ持つのが還元型CoQ10。経口摂取によりシワの数、面積率、体積、深さの減少が明らかになっている。
出典:フレグランスジャーナル 33(8), 46-51, 2005-08
17名のボランティアに8日間 CoQ10を摂取させたところ、主観的疲労の軽減と物理的なパフォーマンスが改善した。
出典:Nutrition. 2008 Apr;24(4):293-9
運動習慣のない65~74歳の女性20名に還元型CoQ10を4週間摂取してもらい、3階分の階段を一定速度で登り、呼吸代謝と心拍数を測定した。その結果、特に普段から疲れやすさを感じている高年齢女性の、酸素供給能力もしくは酸素利用能力を改善する可能性が示唆された。
出典:日本補完代替医療学会(第17回2014年)
CoQ10は血清インスリン値の上昇抑制、血圧上昇抑制、腸間膜動脈の内皮機能不全を改善。メタボリックシンドロームの心血管疾患リスク改善への有用性が明らかになった。
出典:J Pharmacol Sci. 2008 Jun;107(2):128-37.
運動習慣のない65~74歳の女性20名に還元型CoQ10を4週間摂取してもらい、摂取前後に活動量を測定。平均血中CoQ10量は摂取前に比べて4倍以上に上昇、心拍変動スペクトルのトータルパワー(活力)が有意に上昇した。夜間睡眠時の中途覚醒も減少しており、睡眠効率が有意に改善した。
また、気分や体調に関するアンケート(VAS)も実施したところ、「疲れの回復」、「動くことへの意欲」項目において改善傾向がみられた。
出典:日本補完代替医療学会(第17回2014年)
めまい患者83名を対象に血清CoQ10を測定したところ、めまい患者の血清CoQ10濃度は正常値と比較して優位に低いことがわかった。また、メニエール病において、めまいが軽快すると血清CoQ10レベルは正常値まで回復していた。
出典:耳鼻と臨床31巻3号
被災地の病院や高齢者施設に勤務するスタッフ61名に還元型CoQ10を3カ月間摂取してもらい、摂取前後でうつの評価アンケート(CES-D)を実施したところ、点数が有意に低下した。摂取前はうつ判定であった21名も、摂取後は10名と半数以上がうつ判定から改善した。
出典:日本補完代替医療学会(第16回2013年)
ここまでにご紹介した「還元型コエンザイムQ10」について、おさらいします。還元型コエンザイムQ10が不足すると、いわゆる「老化現象」がでる。
還元型コエンザイムQ10のはたらき
①細胞のエネルギーを作る
②活性酸素によるサビを防ぐ
③ホルモンバランスを整える
⇒老化を防ぐ
「還元型」がポイント
・還元型はもともと体内にあるので効果大
・強力な抗酸化作用を持つのは還元型のみ