リスクを知って正しく対策
悪気はないのに、まわりを不快にしてしまう口臭。自分では気づきにくく、他人は指摘しづらいのも厄介です。まわりの人のちょっとしたしぐさで「みんな言わないだけで、もしかして私ニオってるんじゃ…」と気になる方も多いのではないでしょうか。
まずは自分が口臭持ちなのかセルフチェックで確認してみましょう。
とても手軽で簡単な方法です。コップやビニール袋に息を吐き、深呼吸してからにおいを嗅ぎます。ビニール袋は、小さな袋のほうがわかりやすいでしょう。
ただし、四六時中でているニオイというよりも、ニンニクやコーヒーを飲んだ後など、一時的なニオイの測定に向いています。
おおまかにニオイの有無を知る方法です。自分の手を舐めてみて、乾燥したらにおいを嗅いでみましょう。まわりの人が嗅いでいる、あなたの口臭に近いニオイといわれています。起床後ならば、最も強い口臭を確認できます。
いちばん確実、しかも手軽な方法です。家族や気の許せる友人にチェックしてもらいましょう。
フロスや歯間ブラシの使用後、ニオイを嗅いでみましょう。ニオイがある歯は虫歯など治療が必要なケースも多くみられます。
舌の色がほんのり淡いピンクであれば健康な証拠。舌が原因となる口臭の可能性は低いでしょう。
一方、白色や黄色だと、口臭の可能性が高い…です。
きっちり確認できる方法です。科学的に再現して、第三者として自分の口臭を嗅げます。カップなどに唾液と舌苔や歯茎を拭いたコットンなどを一緒に入れて湯せんにかけます。ズバリ蒸気のニオイが、あなたの口臭です。
市販の口臭チェッカーを使用します。客観的に数値が出るので、セルフチェックで不安な人は使ってみるとよいでしょう。
セルフチェックでもいまいち分からない場合は歯科で受診しましょう。口臭物質を計測できる「口臭測定器」があります。自分が口臭持ちなのか高い精度でわかります。
口臭は、ほとんどの人に発生します。慢性的な口臭は、深刻なケースとなる場合もありますが、たまに臭うくらいの口臭は、正しいオーラルケアやブラッシングなど日々の習慣で予防できます。
それでも口臭が気になる場合は、虫歯、歯周病などお口にトラブルや内臓疾患がある場合もあります。早めに対策しましょう。
嗅覚は視覚や聴覚と違って「順応反応」が起こります。例えば、トイレなど。入った時にクサいと思っても、次第になれて、ニオイを感じなくなる経験があるのではないでしょうか。
口と鼻はのどの奥で繋がっており、口の中のニオイを常に嗅いでいることになるため、嗅覚が口のニオイに順応してしまい、自分では判別ができないのです。だから少しでも不安があると、まわりの人のちょっとしたしぐさで「私クサいんじゃない?」と気になってしまうのです。
口臭の原因は「揮発性硫黄化合物」といわれる物質です。
野菜の腐ったような臭いのメチルメルカプタン、卵が腐ったような臭いの硫化水素、ゴミ臭のようなジメチルサルファイドなどがあげられます。中でもメチルメルカプタンと硫化水素で約90%を占めます。
これら悪臭物質は、はがれ落ちた粘膜・唾液・食べ物のかすに含まれるタンパク質が、口内の細菌によって分解・発酵されることによって増殖します。
つまり個人差はあるものの、誰にでもあるもので、通常はまわりの人々に強い不快感を与えるほどの臭いではありません。
口臭はメチルメルカプタンなどの悪臭物質によって生じます。
悪臭物質が増殖してしまうのは、さまざまな要因が考えられます。
消化 | 酵素でデンプンを分解する |
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溶解 | 味物質を溶かして味覚を促進する |
洗浄 | 食べ物のカスを洗い流す |
円滑 | 発音や会話をスムーズにする |
抗菌 | 病原微生物に抵抗する |
緩衝 | 細菌の繁殖を抑える |
保護 | 歯の表面に皮膜を作り虫歯を防ぐ |
舌に付いている白い汚れ。舌の表面や舌乳頭(舌の表面にある小さな突起)の間に付いた細菌や、口の中ではがれ落ちた粘膜、食べかすなどのかたまりで、たんぱく質を多く含んでいます。
細菌の温床であり、舌苔の病原菌が肺に入ると、高齢者の死亡原因に多い誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こします。
また蓄積しすぎると、味を感じる味蕾(みらい)を覆ってしまい、味覚障害を引き起こすなど、さまざまなトラブルの原因となります。
ひとつでも思い当たる方は口臭対策をしましょう。
口臭とは「口あるいは鼻を通して出てくる気体のうち、社会的容認限度を超える悪臭」と定義されています。つまり、ニオイの質と強さが問題となります。
口臭はおおまかにすると3つタイプに分けることができます。
朝起きた時やおなかが空いた時の口臭は生理現象のひとつ。ほかには、ホルモンバランスの変化による妊娠時の口臭、加齢による口臭など。
いずれも一時的なもので口の中を清潔にしていれば時間とともに消えるので、治療の必要はありません。これらは「生理的口臭」と呼ばれ、誰にでもあることなので、あまりネガティブに捉えなくてよいでしょう。
ニンニクやネギなどの食べ物によるもの、酒やタバコなど嗜好品によるものなど。生理的な口臭と同じく、こちらも一時的なものなので、過度に気にする必要はありません。実際、「口臭の定義」では口臭に含まれていません。
病気による口臭は、歯周病や歯肉炎などの歯科疾患が圧倒的に多いようです。ほかには蓄膿症や扁桃炎などの耳鼻科疾患、糖尿病、肝臓、腎臓などの全身疾患によって生じる口臭があります。 怖いのは身体的な病気だけでなく、心理的な問題による口臭。ニオイの有無にかかわらず口臭を過剰に意識してしまう「口臭症」、他人から避けられているのでは?と思い込む「自己臭症」などは、コミュニケーションがうまくとれなくなり、精神障害を引き起こしてしまうこともあります。
口臭は強くなったり弱くなったり
生理的口臭は、生活リズムによって強くなったり、弱くなったりします、例えば、起床時や昼食前、夕食前など、唾液の分泌が少なくなる時間帯に口臭は強くなります。ちなみに唾液の分泌は加齢とともに少なくなっていきますので、高齢になるほど口臭の可能性が高くなります。
会話を楽しみたいのに、ふと「ニオっていないかしら?」と気になり、知らず知らずのうちに口数が減り、笑顔が消え、ひいては「人と話すことが怖い」と感じてしまう…。
自分では気づきにくい口臭は、注意したくてもできないという側面があり、知らず知らずのうちにまわりの人に迷惑をかけていることになります。自分では被害を受けているつもりでも、実は加害者になっているというケースも多く厄介です。
さらに、口臭を過剰に意識してしまう「口臭症」や、ニオイによって他人から避けられていると思い込む「自己臭症」などが進んでしまうと、神経障害や、被害妄想などを含む精神障害を引き起こし、人とのコミュニケーションが上手にできなくなってしまいます。
近年、口臭によって就職や結婚などに不安を抱え、悩む人が増えているといいます。まさしく口臭は人生を左右する大きな問題であるといえます。
一方で、原因をきちんと理解し、正しく対策することで口臭は改善できるもの。あまり悩みすぎず、今できる対策で着実にケアしましょう。
口臭を抑えるにはオーラルケアなどで口の中を清潔に保つことが大切ですが、日々の生活習慣を見直すことも必要です。暴飲暴食や不摂生をやめ、疲労やストレスを溜め込まないように十分な睡眠をとるのも重要です。
顎を動かすと唾液が大量に分泌されるので、口臭を抑えることができます。しかし、現代人は咀しゃく回数が減少しているといわれています。柔らかい食品ばかりでなく、歯応えのあるものを意識して摂りましょう。
おやつの時間にはガムがおすすめ。外出時など、歯みがきできない時にも心強い味方になってくれます。
食品によって口臭は強くなります。タンパク質は分解されると、悪臭物質に変化するので、肉、大豆、乳製品などタンパク質の多い食品はニオイが強くなります。また、口内が酸性になると悪臭物質が増えるので、砂糖の多いおやつやコーヒーにも要注意。アルコールは、唾液が減り口臭が強くなりますのでほどほどにしましょう。
レモンや梅干しなどの酸っぱい食べ物は唾液の分泌を促し、細菌が抑えられるため口臭予防に効果的。強力な殺菌効果のある「カテキン」を含む緑茶もおすすめです。日本人の風習である「食後のお茶」は理にかなっていたんですね。
歯みがきなどのオーラルケアはタイミングが大切。特に起床時は口臭が最も強くなります。睡眠中は唾液の分泌量が減って、細菌が増えるため、口臭物質が口のなかいっぱいに。そして、起きた時に口臭があふれ出てしまうのです。したがって就寝前と起床時の歯みがきは超重要です。
もちろん食後の歯みがきも。ポイントは残った食べかすを取り除くこと。食べかすが残ったままだと悪臭物質のもととなる細菌が増加してしまいます。
また、食事の直後は大量の唾液が分泌されるため、比較的細菌の繁殖が抑えられますが、2~3時間もすると唾液が減少します。ここで食べかすが残っていると、やはり細菌でいっぱいになってしまいます。おやつの後の歯みがきも忘れないようにしましょう。
ニオイの元になる舌苔を取り除きましょう。ただし、舌はデリケートですので舌をみがく際は注意が必要です。
欧米では舌ケアをすすめる歯科医が増え、常識となりつつあります。アジアでも、古くから中国の「舌診」やインドのアユールヴェーダなどの記録が見られ、舌ケアの習慣がありました。日本では江戸時代の浮世絵に舌苔を除去している様子が描かれています。昔の日本では舌ケアが一般的であったことがわかります。
生活習慣病をはじめ、さまざまな病気の原因となるストレス。口臭も同じく、ストレスが続くと悪影響をおよぼします。人間はストレスを感じるとネバネバとした水分の少ない唾液となり、口内の水分量が不足して細菌が増殖してしまいます。緊張して口の中がねっとりした経験があるのではないでしょうか?趣味などでストレス解消しましょう。
口臭予防に特化した歯みがき粉やマウスウォッシュ、さわやかな香りのガムやタブレットなどたくさんの口臭予防商品が市販されています。どれも毎日コツコツと続ければ、少ないながらも着実に口内環境は良くなっていきます。
なかでも手軽で効果的なケアとしてはサプリメントがおすすめ。口臭の原因となる悪性物質を除去してくれるので素早く根本改善が見込めます。
ここまでのまとめ
厚生労働省の歯科疾患実態調査(2016年)によると、15歳以上の約10%が「口臭が気になる」と回答しました。このデータは主観的な回答であるため、国民の10%に口臭があることを示すものではありませんが、口臭のように鼻のまわりで常に生じているにおいは順応という生理的な反応のため、自分での評価がしにくくなっています。そのため人々に不安を与える一方で、強い口臭を持つ人の自覚のなさにつながっています。
1992年に一般的な日本人の口臭の実態を把握するために、2,672名(18歳~64歳)について口腔疾患・口腔環境・生活習慣などの調査と併せて口臭原因物質(揮発性硫黄化合物:VSC)測定を機器により行った結果の報告があります。
また一大学病院の病院統計によると、口臭検査・診断・治療を求めて来院された患者さん(約1,000名)の約1/3が口腔内の清掃状態不良に伴う口臭(生理的口臭)、1/3が口腔内の病気(歯周病)に由来する口臭、1%強が代謝性疾患・耳鼻咽喉系疾患・呼吸器系疾患など呼気由来の口臭であり、一方1/3が治療の必要な口臭は認められなかったと報告されました。
出典:eヘルスネット
自分の口臭が気になったことがある80.6%
公益社団法人・日本歯科医師会が、全国の10代~70代の男女1万人を対象に、歯科医療に関する意識調査を行いました。その調査結果の中から、「口臭」についての回答をご紹介します。
出典:日本歯科医師会
誰もがなる可能性があり、時には大きな問題ともなりうる口臭。長年にわたり悩んでいる方も多く、根本改善を目指したいところ。そこで注目されているのが「シャンピニオンエキス」です。
シャンピニオンとは
フランス語でキノコを意味します。日本ではマッシュルームとしておなじみです。高い整腸作用が特長で、腸内環境の悪化による口臭や体臭を和らげてくれるので、介護食などにも多く利用されています。
偏った食生活やストレスの多い生活が続くと腸内環境のバランスが崩れてしまいます。すると腸内では悪玉菌が増殖し、悪臭のガスが発生します。このガスを腸が吸収すると、不快な口臭や体臭が発生します。
シャンピニオンエキスは善玉菌と悪玉菌のバランスを良好に保ち、腸内環境を整えるのが特徴。
悪臭のもととなる、フェノール、インドール、スカトールなどの毒素を抑えます。さらに、口臭原因の元凶となるメチルメルカプタンを直接抑える働きもあり、口臭改善の強い味方になってくれます。
口臭成分であるメチルメルカプタンの濃度が0.5ppmになるように入れたビンに、シャンピニオンエキスを2、5、10mgの3パターンに分けて蒸留水に溶かし、それぞれの消臭効果を比較した。
シャンピニオンエキスを5mgと10mg加えた時は15分、2mgの場合は45分でメチルメルカプタン濃度が0ppmになった。
焼き肉を食べた後の女子大生63名にシャンピニオンエキス配合のキャンディー1個を食べてもらい、アンケートをとったところ、58名が「効果あり」と回答した。
出典:株式会社リコムHP
老人病棟に長期入院中の患者14名にシャンピニオンエキスを服用してもらい、10日ごとに検査および胃腸症状について問診をおこなった。
10日後に便性改善の兆しが見られ、20日後、30日後には明らかに便臭が少なくなった。また、高齢者特有の病体臭や口臭もあまり感じられなくなった。
便中ガス濃度と血中アンモニア濃度の変化を測定したところ、30日後にはメチルメルカプタンなどの悪臭成分が顕著に減少した。
出典:第36回東北臨床衛生検査学会
被験者9名にシャンピニオンエキスを投与し、便臭成分の濃度を分析したところ、投与中は体内毒素が減少した。
出典:株式会社リコムHP
ここまでにご紹介した「シャンピニオンエキス」について、おさらいします。
⇒さまざまな口臭原因を抑え、口臭を根本改善