知っていますか?
糖尿病のほんとうの原因
40歳以上の4人に1人と、急増している糖尿病。
あなたは糖尿病の原因を知っていますか?
≪4コマでわかる血糖値のしくみ≫




大事なのはインスリン

インスリンは血液の中の糖をエネルギーに変えて
血糖値を下げる唯一のホルモンです
血糖値を下げることができません
インスリンが足りない
アジア人は欧米人よりもインスリンの分泌量が少ない人が多いので、もともと糖尿病になりやすい。
ストレス、加齢、遺伝の影響も。
インスリンが効かない
内臓脂肪からインスリンを効きづらくする物質が分泌されます。
内臓脂肪が多いとインスリンが働かなくなります。
糖尿病の基準値
糖尿病の最新の基準値は、以下のようになっています。
空腹時血糖値
■10時間以上絶食した状態で計測。食事前、血糖値がもっとも低くなっている状態の値を判定。
正常値 | 80mg/dl~99mg/dl |
---|---|
糖尿病予備軍 | 100mg/dl ※ ~125mg/dl |
糖尿病の可能性が高い | 126mg/dl~ |
随時血糖値
■ブドウ糖75gを水に溶かしたものを飲み、30分後、1時間後、2時間後に計測。食後のインスリンの効き方を判定する。
正常値 | 80mg/dl~139mg/dl |
---|---|
糖尿病予備軍 | 140mg/dl~199mg/dl |
糖尿病の可能性が高い | 200mg/dl~ |
HbA1c(NGSP値)
■食事や運動などの影響を受けない過去1~2ヵ月の血糖の平均値。血糖値コントロールの目標値とされることが多い。
正常値 | 5.9%以下 |
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糖尿病予備軍 | 6.0%~6.4% |
糖尿病の可能性が高い | 6.5%~ |
※厚労省「特定健診・保健指導について」資料
通常の健康診断では「空腹時血糖値」だけしか計らない場合が多いので、まずは空腹時血糖値をチェックしてみてください。
糖尿病の進行度は、空腹時血糖値、随時血糖値、HbA1cの数値を総合的に見て判断されます。
空腹時血糖値が100mg/dlを超えているようなら、できるだけ早く随時血糖値とHbA1cも計測することをおすすめします。
≪5コマでわかる糖尿病≫





糖尿病の初期症状
糖尿病は、初期の段階では自覚症状が全くないことが多く、症状が出るとしてもごく軽いものになります。 しかし、血糖値が高い状態が続くと、下記のような初期症状がゆっくりと出てきます。 原因は主に、細い血管の障害による血流の悪化と、それにより体の隅々まで酸素や栄養が運ばれなくなることで起きる神経の障害です。
足や手に痛みやしびれ
毛細血管がダメージを受けて酸素や栄養が運ばれなくなると、末梢神経が障害を受けるので、足の指や足の裏に痛みやしびれが出ます。さらに症状が進むと、しびれは手の指にも現れます。
ED(勃起不全)
高血糖が続くと「神経に障害が起きて、性的な刺激を感じづらくなる」 「活性酸素により血管が壊されており、勃起するための血流が阻害される」 以上のどちらか、もしくは両方が原因でEDになりやすくなります。
皮膚乾燥・かゆみ
血流が悪くなり、皮膚に必要な栄養や酸素が運ばれなくなるので、皮膚が乾燥してかゆみが出ます。
頻尿・多尿、多汗、のどが渇く
頻尿・多尿になるのは、血液中の糖を体の外に出そうとして、腎臓が大量に尿を作るから。汗が多くなるのも、汗として糖を体外に排出しようとする体の防衛反応です。そのため、尿や体臭はかすかに独特の甘い臭いに。
また、体から水分が失われていくので、のどの渇きは徐々にひどくなります。
これらの症状が出ているとしたら、糖尿病はかなり進行していると判断できます。
恐いのは合併症
初期症状の次には、深刻な合併症が起こります。
血糖値の1~2ヵ月の平均であるHbA1c(NGSP値)が7.0%を超えていて、対策を行っていないとすると、合併症を発症するリスクが確実に高まります。
次の3つの合併症は、糖尿病の3大合併症とされているものです。
糖尿病性神経障害

神経細胞に血液が届かなくなり、手や足の感覚が鈍る。
発汗異常や立ちくらみ、便通異常、男性の場合は勃起障害も。
ちょっとした傷や水虫により足が腐り、年間2万本もの脚が切断されている。
糖尿病性網膜症

日本人の失明原因第2位(1位は緑内障)。毎年3,000人の糖尿病患者が視力を失っている。
目の毛細血管が破れて酸素や栄養が届かなくなる。
かなり進行しても自覚症状が出にくいのが特徴で、ある日突然目の前が真っ暗になることが多い。
糖尿病性腎症

血糖値が高い状態が20年ほど続くと、腎臓が機能しなくなり人工透析が必要になる。
透析は週に3回、各4時間。腎臓を移植しない限り、透析は一生続けなければならない。
透析を受けているのは現在約32万人。年間5,000人のペースで増加している。
上の3大合併症は血管が細い部分の症状。糖と活性酸素は血液とともに全身をめぐるので、とうぜん太い血管をも蝕みます。
アメリカでは糖尿病患者の7割が心筋梗塞、脳梗塞で命を落としています。
心筋梗塞

糖尿病の人はそうでない人に比べて心筋梗塞になるリスクが3倍ほど高い。
まえぶれなく胸の中央あたりに激痛が走り、30分以上、場合によっては何時間も痛みが続き意識を失う。
梗塞が起こる場所によっては10分ほどで死に至る。
脳梗塞

糖尿病の人はそうでない人に比べて脳梗塞になるリスクが男性で2.2倍、女性では3.6倍も高い。
以前ほど脳梗塞で命を落とすことはなくなったが、後遺症により寝たきりになることも多い。
主な後遺症は言語障害、重い認知症、身体の片側がマヒで動かなくなる、など。
空腹時血糖値
放置するとどうなる?
ヘモグロビンエーワンシー
HbA1cという数値を知っていますか?
健康診断では計測しないので、まだご自分の数値を知らない方もいらっしゃるかもしれません。
HbA1cとは、血糖値1~2ヵ月間の平均値であり、その値が高い人は『高血糖が日常化』してしまっているという危険信号です。6.5%を超えると合併症のリスクが高まります。
一度悪化したHbA1cの数値を改善させるのは難しいので、空腹時血糖値を正常域内で安定させて、HbA1cの悪化を防ぐことがとても大切です。

出典:「糖尿病の判定に関する検査値の扱い方について」東京都医師会 より作図
まとめ
ここまで説明した糖尿病の原因をまとめます。
①インスリンが足りない
もともと日本人は、糖をエネルギーに変えるためのインスリン分泌量が少ない人が多い。
遺伝など体質による場合も。
糖質や脂肪が多い食事やストレスを避けることが重要。
②インスリンが効かない
エネルギーとして使われなかった余分な糖は、中性脂肪として内臓脂肪に蓄えられる。
過剰に溜まった内臓脂肪からは、インスリンを効きづらくする物質が出ている。
過剰に溜まった内臓脂肪からは、インスリンを効きづらくする物質が出る。
さらに、この状態で糖が体内に取り込まれると血糖値の上昇が深刻化する。
内臓脂肪が多いのは男性だが、閉経後は女性も増える。
糖尿病患者は急増中!



糖尿病の疑いがある人の約4割が治療を受けずに放置しています。 また、治療を始めても高額な治療費(インスリン療法の場合、毎月1万円~1万5千円ほど)の問題や食事制限が続けられずに中断してしまう方が多いのも現状です。
合併症が進行すると、これまでの生活は送れなくなります。
糖尿病は、まずは予防が大切。それでも血糖値が高くなってしまったら、すぐに対策を始めましょう。